前話に記したように、心の掃除をするには、自分の心に目を向け、思考を止めて、そこにある思いをただ感じればいい。このテクニックを身に付けると、ストレスが激減して、生きるのがとても楽になります。

ストレスは、やりたくないことを我慢して行なっていると増えていきます。そして残念なことに、多くの人はやりたくないことを我慢してやるのを良しとする考え方を、心に刷り込まれてしまっています。

やりたくないことがあっても、その気持ちを抑えて、頑張ってやる。私たちの多くは、そのようなあり方を子供のころから教育されています。学校の勉強などは、まさにその典型でしょう。

やりたくないことがあっても我慢して努力しないといけない。そんなあり方を身に付けていると、何かしんどいことがあるたびに、ついつい我慢してストレスをため込んでしまいます。

心は身に付けたパターンを繰り返すもの。一度、パターンを身に付けると、似たような状況では同じように対応しようとするのが心のあり方です。(このような心のあり方は、インド哲学では「サンスカーラ」、現代心理学では「マインドセット」と呼んでいます)

やりたくないことがあったとき、やりたくない気持ちを抑えて、頑張ってやる。そんなパターンを身に付けていたら、いろいろなところでストレスを溜めることになり、人生がつらくなるのが当たり前なのです。

今の日本はとても平和だし、物質的にも恵まれていて、過去のどんな時代の人たちよりも、ものすごく快適な暮らしをしているはずです。それなのに、ストレスが溜まってつらい人生を送っている人がたくさんいます。その元凶が「やりたくないことがあっても、その気持ちを抑えて、頑張ってやろうとする心のパターン」です。

ストレスのない快適な人生を送りたければ、そのような心のパターンを手放すことが必要。そして、そのときに役に立つのが、前述の心の掃除のテクニックです。

やりたくないけれど、しなければならないことがあったなら、一旦立ち止まって、自分の心に目を向けてください。考えるのをやめて、そこにある思いをただ感じとろうとしてみてください。十分に時間をとって心を見つめていると、それまであった心のパターンが解放されていき、「やりたくないけど、しないといけないこと」に対する認識が変わってきます。

たとえば、やりたくない気持ちが減ったり、むしろ積極的にやる気になったり、実はやらなくてもいいことに気が付いたり、あるいは別のやり方でもいいことに気が付いたり、等々。ただ「我慢してやる」ということ以外にも、たくさんの道があることに気が付くことでしょう。

健康で幸せな人生を送りたければ、「やりたくないけど、しなければいけないと思うことがあったら、自分の心を見つめる」というパターンを是非とも身に付けてください。あるいは「やりたくないことがあったとき、それをやらないですむ道を探す努力をする」というパターンや、「やりたくないことがあったとき、それを喜んで出来るように工夫をする」というパターンもいいでしょう。

毎日の生活でストレスを感じている人、あるいは、日頃から肩コリや腰痛が気になるような人は、ほぼ確実に「やりたくないことがあっても、その気持ちを抑えて、頑張ってやろうとする心のパターン」を身に付けています。

やりたくないことを我慢して行なわないといけないのは、周りのせいではありません。自分の心がそんなあり方を選択しているのです。そのことに気付くことができると、人生は大きく変わることでしょう。

自分の心をしっかりと見つめ、やりたくないことを我慢して行なう生き方を卒業していきましょう。私たちは心身共にもっともっと健康に、毎日を快適に過ごすことができるはず。心の掃除の実践(=ヨガの実践)は、そんな快適な暮らしを私たちにもたらしてくれるのです。