要らない心のパターンを手放すことがアンチエイジング、若返りのポイントです。では、どうしたら心のパターンを手放すことができるのでしょう?

まず基本的なこととして「心は身に付けたパターンを繰り返しているだけ」ということに気付いてください。日々いろんな思いが心にわいてきますが、そのほとんどはこれまでに身に付けたパターンを繰り返しているだけ。言わば「癖」のようなもの。心は、似たような状況に遭遇すると、同じような反応をするものなのです。

たとえば、暑いのが苦手な人は、気温が高くなると、暑くて嫌だなと、いつも思うことでしょう。たとえば、思うように物事が進まないと、イライラしたり、不平不満を言いたくなる人は、物事がうまく進まないときには、いつも同じように、イライラしたり、不平不満を言いたくなるものです。

当事者本人にとっては、そう思うのが当たり前のことで、そのことに何の疑問も持たず、なんで自分がそう思うのかについて考えたことがないかもしれません。

でも、暑いと感じていても、そのおかげで汗がかけていいと思う人もいるかもしれません。あるいは、物事がうまく進まない状況に遭遇すると、学びのチャンスだと思って、意欲的になる人もいるかもしれません。

いずれにしろ、自分が思っていること、感じていることは、決して当たり前のことではないことに気付くことが大切。「この状況では、こう思う」というパターンを自分は持っているんだ、ということを自覚すること。それが心の掃除の第一歩です。

要らない心のパターンを手放すことがアンチエイジングのポイントですが、そもそもパターンがあることに気付かないことにはどうにもなりません。自分の心のパターンに気付く意思を持つこと。それが心のアンチエイジングの第一歩です。(この文章を読んで感じること。もちろんそれもパターンの現れです)

さて、自分の持っているパターンに気付いたら、次のステップとして、ネガティブに反応してしまうパターンを手放していきたいのですが、どうしたらパターンを手放せるのでしょう?

一言でいえば「何もしないで見守ること」です。(2つポイントが含まれています。「何もしないこと」と「見守ること」です)

まず「何もしないこと」ですが、たとえば、暑いのを嫌だと思う気持ちをどうにかしようと思った場合、暑いのを嫌とは思わないようにしようとしがちです。でも、それだとうまくいきません。暑いのを嫌がっている心を否定しないで、そんな自分も認めていくこと。別の言い方をすれば、自分を許し、ありのままを受け入れること。手放したいパターンに気付いたら、それを否定せず、受け入れることが大切です。

その上で、そんな自分の心を見守っていてください。

心の動きに意識を向け、その反応に気付いている。でも手出しはしない。思考は止めて、ただ見守る。それができると、心は勝手に心の中で反応を続けていき、だんだんと反応が弱くなり、やがては静まります。

それは水面の波のようなもの。波だっている水面を、手で抑えようとしても静まりません。むしろ手を出せば出すほど、余計に波立ってしまうもの。手出しすることなく、波がおさまるのをただ待っていれば、自然と波は静まっていくものです。

具体的には、手放したい心のパターン(たとえば、不平不満、泣き言、文句、不快感、怒り、嫉妬、イライラ等々)がわいてきたら、自分の心に目を向け、思考を止めて、その思いをただ感じるようにすればいいのです。

そのときに、体は動かさないで、じっとしていた方がいいでしょう。ただありのままを感じるのがポイントですが、慣れないうちは、ついつい思考が働いてしまうでしょう。何かを考えだしている自分に気付いたら、思考を止めて、ただ心を観察するように努めてください。

何もしないでただ見守るというのは、意外と難しいものです。ただありのままを観察しようと思っていても、すぐに思考が働きだすでしょう。思考している自分に気付くたびに、改めて心の観察に意識を向けなおします。その繰り返しで構いません。それを繰り返しているうちに、だんだんとありのままの自分を受け入れることが出来るようになっていきます。

何もしないで見守ること。それを意識的に実践していると、心がどんどん軽くなっていきます。もちろん、掃除は一度やって終わりというものではありません。掃除は定期的かつ継続的にすべきこと。心の掃除も同じです。いつまでも若々しい心でいたいなら、食事をするのと同じように、ぜひとも心の掃除を毎日の習慣にしてみてください。

そして、このような心の掃除は、ヨガの実践で最も大切なこと。このノウハウを理解し、実践するようなると、「ヨガとは心の作用を止滅することである」というヨガの経典の言葉が、実感として理解できるようになるでしょう。ヨガをしている人が若々しいのは、ポーズのせいだけではありません。ヨガをするということは、心を掃除するということであり、それこそがアンチエイジングの一番のポイントなのです。