ヨーガスートラの原文はインド古語(サンスクリット語)で、その訳文もいろいろあります。ここでは、下記の4冊の訳文を参考にしながら、読み解いていきます。

参考書籍(番号①~④が書籍と訳文の対応を示します)
①やさしく学ぶYOGA哲学 ヨーガスートラ(向井田みお著)
②解説ヨーガ・スートラ(佐保田鶴治著)
③インテグラル・ヨーガ パタンジャリのヨーガ・スートラ(スワミ・サッチダーナンダ著)
④現代人のためのヨーガ・スートラ(グレゴール・メーレ著)

【ヨーガスートラ:1章3節】

①(心が静まる時)人は変化を観る存在である自分の真実に至ります。
②心のはたらきが止滅された時には、純粋観照者たる真我は自己本来の態にとどまることになる。
③そのとき、見る物(自己)は、それ本来の状態にとどまる。
④その時、見る者は本来の姿にとどまる。

【ヨーガスートラ:1章4節】
①考えの動きをニローダ(ケアすること)しないと、本当の自分を考えと混同し(人は苦悩するでしょう。)
②その他の場合にあっては、真我は、心のいろいろなはたらきに同化した姿をとっている。
③その他のときには、(自己は)心のさまざまな作用に同化した形をとっている(ように見える)。
④そうでない時は、心のはたらきと同じ形を帯びるように見える。

ポイント1
これまでに、マインドとスピリットの違いをたびたび説明してきましたが、1章3節の訳文の「変化を観る存在である自分の真実」「純粋観照者たる真我」「見る物(自己)」「見る者」などは、スピリットのことです。また、1章4節の訳文の「考えの動き」「心のいろいろなはたらき」「心のさまざまな作用」「心のはたらき」などは、マインドのことです。

ポイント2
訳し方によっては、ついつい難しく考えがち。でも、ボディ、マインド、スピリットの視点があると、とても簡単に理解できます。その視点に基づいて、2~4節を簡単にまとめると、次のようになります。

(1章2節)マインドの働きを抑えていくのがヨガである。
(1章3節)それができると、スピリットが本来の状態になる。
(1章4節)普段は、スピリットとマインドが一体化して、区別がつかなくなっている。

ポイント3
同じ趣旨のことを、文章にまとめるとこんな感じです。
「普段、私たちのスピリットとマインドは一体化していて、本来の自分が分からなくなっている。その一体化を解消して、スピリットを本来の状態にしたい。そのために、マインドの働きを解消していく。それがヨガの目指していることなのです」