以前、何十年もヨガをしている年配の先生が、こんなことを話していました。

「最近のヨガは、どうなっちゃったんだろう。筋トレみたいなパワーヨガとか、サウナみたいに汗をかくホットヨガとか。あんなのヨガじゃないよ。アロマの香りの中で、ヒーリングミュージックを聞きながらやったりするのもあるけど、ヨガっていうのは師匠のもとで修行するものであって、あんな快適な環境でやるもんじゃないよ」

私自身もヨガは修行的なものだと考えていたので、そのベテランの先生が話していたように、最近のヨガは、昔のヨガとは全然違うものになっているんだろうなぁと思ったものです。

もともとヨガの実践は、仏教の修行と通じるものがあります。

生老病死(生まれること、老いること、病むこと、死ぬこと。人生における免れない四つの苦悩)など、生きていると様々な苦しみがあります。昔から多くの人たちがヨガや仏教の修行に励み、苦しみの世界から抜ける道を模索して、様々な修行を重ねてきたことでしょう。

そのときの修行は、おそらくつらく厳しいもの。現代のヒーリング的要素の強い快適なヨガとは大違いだったことでしょう。

つらい修行的なヨガから、快適なヒーリング的なヨガへの変化。それはオーバーな言い方をすれば、人間が成長してきた証だと、私は思っています。

人生は苦しみに満ちている。その苦しみから逃れるには、つらい修行をしなければいけない。かつては、そうとしか考えられなかった時代もあるでしょう。

でも、今の時代を生きる私たちは、そんな考え方から卒業しつつあります。

人生は私たちの選択次第。苦しみに満ちたものにもできるし、喜びに満ちたものにすることもできる。この世でどんな経験をするのか、私たちには選択する力がある。そのようなことに気づきつつある人たちが、どんどん増えている時代です。

今の状況はまわりのせいで、自分ではどうしようもないことばかり。そう思っていると、人生は苦しみだらけと感じるかもしれません。でも自分が経験していることは、自分自身で引き寄せた結果であり、全ては自分次第。そのことに気づくと、同じ状況でも感じ方が全然違います。

人生は、苦しみに満ちたものにもできるし、喜びに満ちたものにすることもできる。私たちには選択する力があります。周りの状況に翻弄されて生きるのではなく、新たなる経験を自ら創造する力を持つ素晴らしい存在。それが私たち人間です。

苦しいことをすれば、苦しみを感じる。つらいことをしていたら、つらさを感じる。当たり前のことです。でもその当たり前が素直に理解できず、苦しみから逃れるには、つらい修行が必要だと思っていた時代があります。

生きることは苦しみに満ちていて、その苦しみから逃れることばかりを考えて、幾多の修行に励んでいた時代。そんな時代から、生きることは喜びに満ちているという世界へ向かって、私たちは大きく舵をきり始めたところです。

苦しみを感じていると、苦しいことを引き寄せる。つらさを感じていると、つらいことを引き寄せる。喜びを感じていると、喜ばしいことを引き寄せる。幸せを感じていると、幸せなことを引き寄せる。そんな引き寄せの仕組みが広く理解されつつあるのが、いまの時代です。

快適な環境で気持ち良くヨガをすること。そんな新たなスタイルのヨガは、引き寄せの仕組みを理解しつつある今の時代の私たちならではヨガ。今この瞬間の喜びをしっかりと感じることで、喜びの経験を増やしていくことができるのです。

そのようなことを理解する人々が増えてきて、人類全体の意識にも大きな変化が起こりつつあります。楽で快適なヨガが広まりつつあるということは、そのような人類意識の変化の現れ。そんな視点でヨガをしていると、これからの世界がどんな風に変化していくのか、とても楽しみになります。

苦しみを感じていると
ますます苦しいことが増えていく。

 

幸せを感じていると
ますます幸せなことが増えていく。

 

快適にヨガをしていると
心も体もますます快適になっていく。