ヨガのインストラクターをしていると良く聞かれることがあります。
「どうしてヨガをするようになったんですか?」
その答え、実はそのときの気分や雰囲気でコロコロ変わっちゃう。縁があったからかなぁとか適当に応えて済ましちゃうことが多いんです。
正直に言うと、自分でもよく分からないし、でもよく分からないなりに、ちゃんと話そうと思うと、ちょっと長い話になってしまうんです。
だから、普段はあまりちゃんとした答えをしないのだけど・・・、ここでは、そのちょっと長い話を書いてみたいと思います。
二十年ほど前、会社勤めのサラリーマンをしていたころ、会社の寮を出て、アパートで一人暮らしを始めました。
そのアパートから駅に向かう途中にヨガ教室があって、そこを通るたびにいつも気になっていました。なんで気になっていたのかは分からないけど、ただなんとなく気になるなぁと感じていました。
あるとき、そこのレッスンに申し込んでみました。それがヨガレッスンの初体験でした。20代半ばの頃、汗びっしょりになりながら、ヨガって暑いところでやるんだなぁと思ったものです。
当時は全然知らなかったけど、そこはホットヨガで有名なビクラムヨガの創始者の兄弟によるヨガカレッジで、いわばホットヨガの元祖みたいなところだったのです。
その後、サラリーマンを辞めて、縁あってしばらくハワイで暮らすようになりました。
そのとき、ハワイで借りた家の大家さんが、たまたまアシュタンガヨガの正式指導資格を持つヨギでした。いま考えるとものすごく贅沢なことだけど、その彼からしばらくの間、マンツーマンでアシュタンガヨガの指導を受けました。
アシュタンガヨガのことなんて全然知らなくて、なんだかめっちゃしんどいヨガがあるもんだなぁと思ったものです。それが30歳くらいのころのことでした。
でも、ホットヨガもアシュタンガヨガも、どちらも自分のやりたいこととは思えずに、どちらも長続きすることはありませんでした。
ハワイで3年ほど過ごした後、日本に帰ってきたけれど、自分が何をしたらいいのか分からないまま、これから先の人生について思案に暮れる日々が続きました。
そんなある日、突然のひらめきがやってきました。「ヨガのインストラクターになろう!」それは私にとって天啓のようなものでした。
これからどんなことをしていけばいいか分からずに悶々としていた日々が、その瞬間を境に急に視界が開けてきました。
すぐにヨガのインストラクターになる方法を調べたら、40年以上の歴史を持ち、ヨガ指導者の育成に定評のあるヨガ教室が自転車で通えるところにありました。
いまでこそ、たくさんのヨガスタジオがインストラクターの養成をしているけれど、当時はまだインストラクター養成コースがとても少なかった頃です。
そこには新幹線を使って遠くから通っている人もいました。わざわざヨガ教室の近くにアパートを借りて、養成コースに通っている人もいました。
そんな中、自宅から自転車で通うことができた私は、とてもラッキーだなぁと思ったものです。
ヨガインストラクター養成コースを卒業した後、そこのヨガ教室で実際にヨガの指導をする機会を頂き、やっとヨガインストラクターとしてデビューすることになりました。
それが2005年、36歳のときのこと。ヨガに興味を持つようになってから、10年余りが経っていました。
その後、ヨガ教室から独立して、フリーのヨガインストラクターとしてレッスンを行うようになりましたが、いまに至るプロセスを振り返ると、ヨガの道へ導いてくれる何かが、私の周りにはいつも存在していたように思います。
私の行く先々にヨガへのお誘いがあって、そうこうしているうちに、今ではヨガを人に伝える側になってしまいました。
だから「どうしてヨガをするようになったんですか?」の答えを手短に言おうとすると、「縁があったからかなぁ」ということになってしまうのです。