頑張って耐えれば耐えるほど、心身にエネルギーが溜まっていく。すると体は固く、重くなっていきます。必要以上に体が固い人や太っている人は、つらいことを我慢する癖が身についている場合が多いのです。
そのことが分かると、体を柔軟にしたり、スリムな体形になったりすることは、とても簡単に思えます。気持ち良く感じることをしていると、エネルギーが解放されていく。すると体は柔らかく、軽くなっていきます。
ヨガを続けていると、柔軟でスリムな体形になっていきます。それはつらい修行の成果ではありません。むしろその逆。気持ち良い刺激を体に効かせる感覚を身に付けて、気持ち良いことをしょっちゅうするようになった結果なのです。
必要以上に体が固い人や太っている人は、とても根性があって、つらい状況に負けないように、日々耐えているのかもしれません。でもヨガをしていると、別に無理しなくてもいいんじゃない、という気になってきます。わざわざつらいことをしなくても、気持ち良いことをすることで、心身の状態は、どんどん良くなっていくのです。
もちろん、人生にはつらいこともあるでしょう。耐えないといけないこともあるでしょう。でも、そのようなことの多くは執着が原因です。執着を手放して、ありのままの状態を受け入れるようになると、その分だけ、人生からつらいことが減っていきます。(「ありのままを受け入れる」というのは、ヒーリングの最大のポイントでもあります)
とは言え、執着を手放すのは、必ずしも簡単なことではありません。そして、執着の中でも特に強いのが、現状の維持を望む意識。変化を嫌う意識です。意識の働きの9割以上を占めている潜在意識のレベルでは、誰しもが現状維持を強く望んでいて、変化を嫌がっているものなのです。
たとえば誰かが、給料が安くて、しかもとてもつらい仕事をしているとします。はたから見ていると、そんな仕事なんてとっととやめて、もっと良い仕事を探せばいいのに、と思います。でも、本人はなかなかそれができない。変化を起こすよりも、つらい仕事を続ける方を選択してしまうものなのです。
つらいことであっても、それをすることで今日まで生きてきた。ならば、それを続けよう。それが潜在意識の基本的な働き。なんとなく日々を過ごしていると、潜在意識は現状の維持を選択しようとします。それを切り替えるには、意識的な努力が必要。つらいことをやめて、気持ち良い生き方をするのにも、明確な意図を持って意識的に取り組む必要があるのです。
そのときに、まず大切なのが「自分が何をしているかに気づくこと」です。
どんなことをしているときでも、今この瞬間、心はどう感じているのか、身体はどう反応しているのか。それに気づくことが大切。自分の感覚にちゃんと気付いていると、それをすることが理にかなっているかどうかが自ずと分かってきます。そして、理にかなっていないことに気づいてしまうと、人はそれを改めたくなるものなのです。
理にかなっていないことに気づき、それを改めていく。実はそれはヨガそのものでもあります。ヨガをするということは、理にかなっていない状態(=無理)を解消して、道理にかなった収まりの良い状態に改めていくということ。もし人生において、つらいことや苦労があるとしたら、それは理にかなっていない生き方の現れ。それを解き明かし、無理のない状態に戻していく。それがヨガ的な生き方です。
ヨガをするということは、無理を解消して、本来の収まりの良い快適な状態にしていくということ。すると、必要以上に太ったり、固くなったりすることがなくなり、柔軟で軽やかな体になるとともに、人生そのものまでも、しなやかで軽やかな生き方になっていくのです。