ヨガのポイントは、意識の使い方。ここでは、そのことを繰り返し説明してきていますが、それは日常から乖離した特殊な修行ではありません。たとえば「受け入れる意識」は、日常の生活の中でも、とても役に立つものなのです。

2020年は新型コロナの影響で新しい生活様式が求められ、テレワークなど、オンラインでの活動が一気に増えました。想定外の急激な変化。そこには、つらいこともたくさんあったでしょう。でも新しいことに取り組むというのは、とても素晴らしい学びの機会です。私もオンラインでのレッスンの提供を始めることになりましたが、そこではたくさんの新しい学びがありました。

そもそもレッスンをする以前に、その準備段階にハードルがたくさんありました。オンラインでレッスンをするためには、ハードウェアにしろ、ソフトウェアにしろ、初めてのツールをたくさん使いこなす必要があります。何が必要かを調べ、それらを手に入れ、説明書き(マニュアル)を読んだり、使い方についての動画をみたりして、それらを使いこなせるようにしていく必要がありました。

ところで、コンピュータ関連の機器、新しいものを手に入れたときに、あなたはマニュアルを読みますか?

これまでに私が尋ねた範囲では「ほとんど読まない」という人が圧倒的に多数派。めちゃくちゃコンピュータに詳しくて、今さらマニュアルなんて要らない、という訳ではありません。マニュアルを読まない人たちは、みんなコンピュータが苦手と言います。コンピュータが苦手なのに、マニュアルを読まずに使いこなそうとして、コンピュータは難しいと言う。ヘンな話です。

でも、それが普通なのでしょう。多くの場合、マニュアルを読む、というのはちょっと努力が必要で、積極的にやりたいことではありません。できれば、読まずに済ませたいと思うのは当たり前です。

やりたくない。できれば、やらずに済ませたい。でもやった方がいい。マニュアルを読むというのは、そんなことの一つでしょう。そんなときに、あなたならどうしますか?

やりたくないけれど、やった方がいいと思うこと。それをやると、当然のことながら、心の中に抵抗する気持ちが生まれます。その抵抗する気持ちに対して、私たちには二つの選択肢があります。一つは、その気持ちを我慢して、耐えること。もう一つは、その気持ちを受け入れ、受け流すことです。

我慢して、耐えていると、当然ストレスが溜まります。そうしていると、やればやるほどつらくなって、どんどん嫌になっていきます。逆に、受け入れ、受け流していると、嫌な気持ちは減っていき、それまではしんどいと思っていたことも、むしろ楽にできるようになっていきます。

受け入れ、受け流していく。それはヨガ的な意識の使い方の一つです。意識の使い方がヨガのポイント。このブログでは、そのことを繰り返し説明していますが、それは「マニュアルを読む」というような、非常に実践的なことにも、とても役に立つのです。

やりたくないことをしているときに、我慢せずに、受け入れ、受け流す。これを身に付けると、生きるのがとても楽になります。でも、そのことを知ったからと言って、すぐに実践できるとは限りません。自転車に乗るようなもので、身に付けてしまえば、簡単なこと。だけど、最初はなかなかうまくいかない。最初は試行錯誤をしながらの練習が必要です。

そして、その練習として一番効果的な方法は瞑想です。多くの人が思っている以上に、瞑想は日々の生活にとても役に立つプラクティス。その一つの例として、私がたくさんのマニュアルを読んで、オンラインレッスンを提供できるようになったことも、瞑想のおかげだったりするのです。

ヨガは、ただの健康体操じゃないし、一方で、日常から乖離した特殊な修行でもありません。ヨガというのは、霊性を高めるスピリチュアルな修練でありながら、同時に日常の生活の中でとても役に立つ、ものすご~く実践的な意識のプラクティスなのです。