前回は、気持ち良い感覚を感じて、溜まった排泄物を手放していくと、心身は自ずと良い状態になっていくことについて書きました。その感覚がつかめると、体の状態を良くするのは、とても簡単になります。
私自身、そのことを理解してからは、筋肉痛になるようなトレーニングや、心拍が乱れるような苦しいエクササイズなどは、全然しなくなりました。気持ち良いことばかりしています。それなのに体重はほとんど変わらず、体脂肪率10%程度の状態をずっと維持しています。
スタイルを維持するためには、一生懸命にエクササイズをして、体脂肪を燃焼させなければならない。そんな考え方がまだまだ主流のようですが、それとはまったく別のアプローチがあります。そのポイントが、溜まった排泄物を手放していくことなのです。
一口に排泄物と言っても、いろいろなものがあります。ここでいう排泄物とは、心身に溜まっているもので、手放した方が良いもの全般のこと。簡単に言えば、要らないものすべてです。
ヨガをするのであれば、3つのレベルの排泄物を意識するといいでしょう。それは「肉体レベルの排泄物」「気のレベルの排泄物」「心のレベルの排泄物」です。
肉体レベルの排泄物は、普通の意味の排泄物だけではありません。必要以上の体の固さも要らないものです。私たちは、我慢したり、緊張したり、ストレスを感じたりしたとき、体を固くして、それをそのまま維持してしまうことがよくあります。その蓄積が、必要以上の体の固さの原因であり、それは排泄物をため込んでいるのと同じ。それは解消すべきもの、手放すべきもの。意識的に排泄すべきものなのです。
気のレベルの排泄物は、いわゆる気の巡りを悪くしているもの。我慢したり、緊張したり、ストレスを感じたりしたときは、体を固くするだけでなく、気の巡りにも悪影響を与えています。でも多くの場合、そのことに気づかずに、それをそのままほったらかしにしています。それも解消すべきもの、手放すべきもので、意識的に排泄すべきものなのです。
心のレベルの排泄物は、健やかに過ごす上で役に立たない偏った考え方や、過去のトラウマ的なことや、いわゆる雑念全般など。自分の心の中を顧みれば、要らないものが山ほどあることが、すぐに分かると思います。
ヨガをするというのは、これらの排泄を意識的に促すということであり、主に肉体レベルの排泄を促すのが、ポーズを利用して肉体に働きかける「アーサナ」です。そして、気のレベルの排泄を促すのが「呼吸法」であり、心のレベルの排泄を促すのが「瞑想」なのです。
ターゲットが違うだけで、感覚は同じ。それは溜まった排泄物を手放す快感。アーサナをしながら、その気持ち良さを感じていると、肉体が良い状態になっていきます。呼吸法をしながら、その気持ち良さを感じていると、気の巡りが良くなります。瞑想をしながら、その気持ち良さを感じていると、心が綺麗になっていきます。
「アーサナ」「呼吸法」「瞑想」は、一見すると全然違うことをしているように思えるかもしれません。でも、要らないものを解放し手放す(=排泄を促す)という点において、それらはすべて同じこと。気持ち良い感覚を感じることで、排泄が促され、肉体も気も心も、勝手に良くなっていくのです。