今回は前回の続き、既存の反応パターンを消去する方法についてです。

心の動き。体の動き。それは外部からの刺激に反応して、自動的に起こります。普段はそれを無自覚のうちに繰り返していますが、それに気づき、それを解消することもできます。

解消するには、まずはそのような反応をしようとしていることに気づくことが必須。心と体を観察する意識を持つことが必要です。(マインドフルネスの意識)

観察していると、刺激に対して反応している心と体に気づきます。たとえば、人に何かを注意されたとします。その言葉に対して、心が反応して、感情に動きが生じます。それに気づいてください。あるいは、その言葉に対して、体が反応して、呼吸や心拍が乱れたり、体のどこかが固くなるかもしれません。それに気づいてください。

普通は、その反応に伴い、心身は何か行動をしようとします。たとえば、注意した人に対して、何か言い返すかもしれません。あるいは、注意されて生じた不快な感情を抑えこんで我慢しようとするかもしれません。それに気づき、そのようなことをしないようにする。それが反応パターンを消去する鍵です。

肉体の反応や感情の動きに気づきつつ、衝動的な反応をしないで、いま感じていることをそのまま感じ続ける。心や体の感覚に気づきながら、それを見守り、ただ受け流していく。すると、その感覚は時間とともに変化していき、やがては消えていきます。

これがうまく出来ると、それまで身に付けていた反応パターン(刺激に対して、無自覚のうちに、心身が何か行動を起こすこと)がなくなります。すると、次に同じような刺激があったとき、以前の反応パターンを反射的に繰り返すことがなくなり、改めてどんな行動をするか、意識的に選択することができるようになります。

自分の中で起こる「情動」に気づき、それに対して衝動的な反応をせずに、それがどんな情動であれ、それを許し、そのまま受け入れていく。これが出来ると、それまでの反応パターンは消えていきます。別の言い方をすれば、自分の感じていることに気づき、それをありのまま受け入れていくと、無自覚のうちに同じことを繰り返していた自分を手放して、もっと自由になれるということです。

心や体の感覚に気づきながら、それを見守り、ただ受け流していくプロセス。それは無常(現象世界のすべてのものは生滅して、とどまることなく常に変移しているということ)に気づくことでもあります。何かをしようとする衝動も無常。それに気づくと、いらないこだわりや執着を手放しやすくなり、生きるのがとても楽になります。

反応パターンを消していくプロセスのこと、やり方はわかっても、それがどこまで出来るかは練習次第です。実際にやってみると分かりますが、ついつい衝動的な反応をしてしまうもの。必ずしも簡単ではありません。ちゃんとやるなら、意識的に訓練する必要があります。

そして、その訓練こそがヨガなのです。ヨガをしているとき、自分が何を感じているかに気づき、衝動的に反応することなく、心身のあり様をしっかりと見つめていく。それを意識してヨガをしていると、体が健康になるだけではなく、普段の生活でも、いろいろな刺激に対して自分がどう反応しているかに気づきやすくなり、不要な反応パターンを手放しやすくなります。

せっかくヨガをするのであれば、単なるエクササイズではなく、心身の反応に気づき、いらない反応パターンを消す練習と思って取り組んでみてください。すると、体が健康に綺麗になるだけでなく、心までもスッキリとなり、軽やかな心身で、今よりももっと自由に生きる自分を取り戻すことができるのです。