感覚を我慢して耐えるモードになると、心身にエネルギーが溜まっていきます。気持ち良く感じているとき、エネルギーの解放が起こり、心身が本来の状態に戻っていきます。

ヨガでやろうとしていることは、心や体に溜まった要らないエネルギーを解放して、本来の自分を取り戻すこと。したがって、ヨガをするときは、無理をしないで、気持ち良く行なうことがとても大切です。

エネルギーの蓄積と解放の仕組みが分かると、その原理は様々な場面で応用することができます。特にダイエットしたい方の場合、この仕組みを理解しておくと、無理なく理想の体形を目指すことができるでしょう。

ヨガでも、その他のエクササイズでも、負荷に抵抗して力みながら体を動かせば、エネルギーが溜まって、重い体になっていきます。同じようなエクササイズでも、力みを抜いて、抵抗することなく体を動かすと、エネルギーが解放されて、軽やかな体になっていきます。

つまり、どんなエクササイズでも、意識の使い方次第で、エネルギーを蓄えるエクササイズにも、エネルギーを解放するエクササイズにもなり得るのです。したがって、ダイエットしたいなら、エネルギーを解放する意識で体を動かすことがとても大切です。

ヨガをするときも、気持ち良くポーズをとっていると、心や体に溜まっていたエネルギーを解放されて、ほっそりとしたスリムな体形になっていきます。でも、ポーズをとっているときに力みが抜けず、必死に頑張ってポーズをとると、ヨガをすればするほど、ガッチリとした重い体つきになりかねません。

実際、ヨガのインストラクターをしている人でも、とても恰幅がよくて重そうな体つきの方を見かけることがあります。たいてい、そのようなインストラクターのレッスンは、しんどいポーズが多くて、つらいのを耐えて頑張るのを良しとする内容だったりします。

つまり、しなやかでスリムな体形になりたいならば、力まないように体を動かして、エネルギーを解放していくのがポイント。その感覚がつかめれば、ヨガに限らず、どんなエクササイズでも、スリムな体形を楽に手に入れることができるでしょう。

「ダイエットするなら、有酸素運動で脂肪を燃焼させる必要がある」という考え方がまだまだ主流のようですが、ヨガをしていると、全然そんな必要はないことが分かります。

どんなスタイルのエクササイズでも、力まないように体に刺激を与えればいい。それはつまり、力むことなく体に刺激を与えることができるエクササイズがダイエット向きということ。脂肪燃焼効果なんて全然必要ありません。

たとえば、陰ヨガでは、体を適度に気持ちよく伸ばした状態で数分以上キープします。そんなポーズばっかりで、どうみても脂肪燃焼の効果なんてなさそうなのに、陰ヨガが好きな人は、ほっそりしている人だらけです。

たとえば、気功や太極拳の準備運動としてよく行われるスワイショウ(肩幅程度に足を開いて立ち、腕を前後に振る動作や、腕を体に巻き付けるように胴体を捻じる動作を繰り返し行う運動)なども、とてもいいものです。

いくらスワイショウをしたって、汗もかかないし、心拍数が上がったりもしません。でも、スワイショウのような動き(=力まないで体を動かすこと)を繰り返していると、体から要らないエネルギーが抜けていき、体が軽く動かしやすくなるとともに、自ずとスリムな体形になっていきます。

そもそも太りやすい体質という方は、頑張ることや耐えることが癖になっている場合が多いようです。そんな方は、ダイエットのことも、つらいものと捉えていることでしょう。でも、健康的でスタイルが良い人の多くは、つらいことを我慢して行なうことで、その状態をキープしているのではありません。むしろ、快適なことをすることで、心身を良い状態に保っているのです。

頑張って耐えれば耐えるほど、心身にエネルギーが溜まっていく。気持ち良く感じていると、エネルギーが解放されていく。それはダイエットのためのエクササイズでも同じ。快適なことをすること。楽に気持ち良く体を動かすこと。それがダイエットの秘訣なのです。