感覚を我慢して耐えるモードになると、心身にエネルギーが溜まっていきます。一方、感覚を我慢しないでただ感じていると、エネルギーが解放されていきます。前話に挙げた解放のテクニック(我慢しないで、反応しないで、待つ)は、滞ったエネルギーの解放を促して、心身を軽やかにしてくれます。

ヨガのポーズで肉体を刺激すると、そこに感覚が生じます。その感覚を我慢しないで、反応しないで、しばらく保つと、そこに滞っていたエネルギーが解放されます。ごく簡単に例えれば、ストレッチをして、その感覚を感じていると、固さがほぐれていく、ということです。

ストレッチをすれば固さがほぐれる。伸ばすことで、柔軟性がアップする。当たり前のことのようですが、ヨガがしたいのは、ただのストレッチではありません。そこで何が起こっているのかが理解できると、なぜヨガのポーズにストレッチ的要素が多いのかが分かってきます。

ヨガでやろうとしていることは、心や体に溜まった要らないエネルギーを解放して、本来の自分を取り戻すこと。ヨガのポーズは、主に肉体レベルの滞りを解消してくれます。

私たちは、日頃知らず知らずうちに、いろんなことを我慢しながら、年を重ねています。そのため、ほとんどの人は、年とともに肉体が固く動きづらくなっていきます。(体が固くなっているのに、我慢している自覚がないこともあります。自覚がないことも、大きな問題なのですが、そのことについては、またいずれ取り上げようと思います)

心や体に溜まった要らないエネルギーを解放して、本来の自分を取り戻すのがヨガ。そのとき、積極的に感覚を生じさせると、効率良く解放を進めることができます。そこで利用するのが、ヨガのポーズです。ポーズを利用して、身体に刺激を与え、感覚を生じさせる。その感覚を積極的に感じ取っていくことで、滞っていたエネルギーが解放されていきます。

肉体は、ゴムのような物質ではありません。生きた細胞の集まりです。肉体を柔軟にするということは、ゴムを引っ張って伸ばすようなことではありません。生きている細胞たちの緊張を解放して、リラックスした本来の状態に戻す、ということです。

そのポイントが、刺激を与え、感覚を感じ、それを我慢しないで、反応しないで、解放されるのを待つ、ということです。すると、そこに滞っていたエネルギーが解放されて、本来の柔軟な状態に戻っていきます。

そのことが理解できると、なぜヨガをするときに、無理をしないで、気持ち良くやることが大切なのかが分かるでしょう。気持ち良く感じているときは、我慢せずに、感覚を感じている状態です。気持ち良く感じているときにこそ、エネルギーの解放が起こり、心身が本来の状態に戻っていくのです。

ヨガをするときは、楽に、気持ち良く、快適に行うこと。滞ったエネルギーを解放する上で、それはとても大切なポイントです。このブログのサブタイトルは「とっても楽なヨガの話」ですが、そもそもヨガをする上で、楽に、気持ち良く、快適に行うことは、必須のことなのです。

ヨガで体を伸ばしているとき、それはストレッチをしているのではありません。滞っていたエネルギーを解放しているのです。そのことを意識して、気持ち良くヨガに取り組んでみてください。快適で楽じゃなければ、ヨガじゃない。そんな気持ちでヨガに取り組んでいると、心身に滞っていたエネルギーが解放されていき、本来の自由な自分を取り戻すことができるのです。