*** AIによる解説 ***

原文:
अविद्यास्मितारागद्वेषाभिनिवेशाः क्लेशाः॥

読み方:
アヴィディヤー アスミター ラーガ ドヴェーシャ アビニヴェーシャーハ クレーシャーハ

英訳:
Ignorance, egoism, attachment, aversion, and clinging to life are the sources of suffering (kleshas).

和訳:
無知、我執、執着、嫌悪、生命への固執が苦悩(クレーシャ)の根源である。

各単語の日本語での意味:

अविद्या (avidyā): 無知、真実を知らないこと

अस्मिता (asmitā): 我執、エゴ意識、自己中心性

राग (rāga): 執着、欲望、快楽への執着

द्वेष (dveṣa): 嫌悪、憎しみ、不快なものへの反発

अभिनिवेश (abhiniveśa): 生命への固執、死への恐怖

क्लेशाः (kleśāḥ): 苦悩、苦しみの原因

解説:
この節では、ヨーガ哲学において 「クレーシャ(苦悩)」の原因となる5つの要素が挙げられています。これらのクレーシャは、心が乱れ、苦しみを生む根本原因です。

1. अविद्या (avidyā・アヴィディヤ): 無知
クレーシャの中で最も基本的な要素です。真実(アートマンや宇宙の本質)を知らず、仮のもの(エゴや物質的なもの)を実体と誤解すること。すべてのクレーシャの土台であり、他の4つはこれに由来します。
2. अस्मिता (asmitā・アスミタ): 我執
「私」という感覚、エゴ意識。自分の体や心を「本当の自分」として執着すること。他者との分離感を生み、対立や競争を引き起こします。

3. राग (rāga・ラーガ): 執着
快楽や幸福をもたらすものへの執着。心がこれに執着すると、それが得られないときに苦しみを感じます。
4. द्वेष (dveṣa・ドヴェーシャ): 嫌悪
不快なものや嫌いなものを避けようとする感情。この反発心が心を乱し、苦しみを引き起こします。

5. अभिनिवेश (abhiniveśa・アビニヴェーシャ: 生命への固執)
死への恐怖、生命を失うことへの強い執着。これにより人は不安や恐れを抱き、安心を求めて苦しむ原因となります。

ヨーガの実践とクレーシャ
ヨーガスートラでは、これらのクレーシャを軽減・克服することがヨーガの重要な目的とされています。クリヤヨガや瞑想の実践を通じて、これらのクレーシャを弱め、最終的には取り除くことで、心の平安を得ることができます。この節は、苦悩の根源を理解し、それを克服するための道筋を示す重要な教えです。

*** ここまではAIによる解説。以下はそれを踏まえての解釈です ***

ポイント1
人間は、神的存在(ブラフマン、イーシュワラ、サムシンググレート、自在神などと呼ばれる大いなる存在)から分かれて、個の意識を持つようになった。分離していても、本来は神と同じ存在(梵我一如)で、不滅のアートマンが人の本質。でも私たちは、そのことを忘れてしまい、肉体を持つ存在が自分そのものだと思うようになった。その結果、人は肉体の死を恐れるようになった。

アヴィディヤ、アスミタ、アビニヴェーシャは、そのことを端的に表しています。つまり、梵我一如を忘れてしまっているのがアヴィディヤ。個の意識(自我)に囚われているのがアスミタ。肉体の死を恐れているのがアビニヴェーシャです。

そんな人間には、快楽を求め、不快を嫌がるという基本的な行動原理があります。それが、快楽に執着するラーガと、不快を嫌がるドヴェーシャ。そして、これらがクレーシャ(苦悩)のもととなっているのです。

ポイント2
クレーシャの5つの要素(アヴィディヤ、アスミタ、ラーガ、ドヴェーシャ、アビニヴェーシャ)について、AIが解説してくれましたが、これらの説明は今後されていくので、ここでは訳語はカッコ書きにして、カタカナ表記を残して訳すこととします。

以上を踏まえて本節までを訳すと、以下のようになります。

第1節:タパス(肉体を浄化して整えること)、スヴァーディヤーヤ (知的な理解を深めること)、イーシュワラ プラニダーナ(神に委ねること)。それらの実践によりヨガを成し遂げることができる。

第2節:
その目的は、サマーディの状態に至るとともに、クレーシャ(苦悩や煩悩)を弱めていくことである。

第3節:
アヴィディヤ(無知)、アスミタ(我執)、ラーガ(執着)、ドヴェーシャ(嫌悪)、アビニヴェーシャ(生命への固執)が、クレーシャ(苦悩や煩悩)の源である。